2023/5/27 ~ 2023/7/11
PlanetesQue: The Case of B
BIEN
at: PARCEL
東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1 DDD hotel内 1F
DDD hotel 1F, 2-2-1 Nihonbashi-Bakurocho, Chuo-ku, Tokyo
Open :
Wed-Sun 14:00-19:00
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Closed : Mon, Tue
PARCELでは、7月22日(土)より、BIEN個展『PlanetesQue : The Case of B』を開催いたします。2021年に開催された『DUSKDAWNDUST』からPARCELとして2年ぶりの個展となる本展は、今年5月に恵比寿のプロジェクトスペースPeopleで開催された『PlanetesQue : The Case of Y』に続く、ゲーム・装置的な要素を持つ新作「PlanetesQue」を中心に構築される展覧会となります。
BIENは東京を拠点とし、絵画、彫刻、映像、インスタレーションなど多様なメディアで作品を制作しています。これまで発表してきたドローイング表現の多くは、アニメ―ション表現や文字、記号などといったモチーフのアウトラインがベースとなり、それらの形状や意味を解体し、木食い虫の跡ような太さの均一な線で描くスタイルが広く知られていますが、近年はインスタレーション的な要素も強まり、作風はさらに広がりを見せています。2021年の『DUSKDAWNDUST』では、カメラが捉えた光を抽象化した色面をパズル状に分裂した支持体に置き、フィクションと現実の混在する世界を再構築するようにドローイングの線を重ねた作品や砂を使った彫刻作品を発表しました。その後、2022年には熱海のレジデンスプログラム「ACAO OPEN RESIDENCE #5」や石巻で開催された「REBORN ART FESTIVAL 2022」にてサイトスペシフィックなインスタレーションを、同年のアート鑑賞室HAITSUでは、部屋の中心に置かれた正体不明の真っ黒なオブジェクトを来場者がスケッチするという参加型の展覧会を行いました。また、直近の活動としては作家・キュレーターの石毛健太と共に牽引するプロジェクト「SCAN THE WORLD」として、2022年に金沢21世紀美術館にて6ヶ月に渡って開催された、来場者に開かれ参加を促す場としての展覧会って、6ヶ月の進行形プロジェクトベースでの個『アペルト17 SCAN THE WORLD [NEW GAME] 』が記憶に新しいかと思います。
「PlanetesQue」に至った理由の一つとしてBIENは「普通に生きてきて、色々なものを見て、自分は世界っていうものがよく分からないものだなって基本的に思っている。それをわけがわかったようなふりをして生きてたけど、やっぱり分からない。そういうようなことを作品にしたいと思っている。」と語ります。
本展の軸となる作品「PlanetesQue」は車輪付きの家の形をした箱で、中には説明書、複数のサイコロといくつかの象徴的なオブジェクトが入っています。この作品は、プレイヤー(制作者 / 解読者)が車輪を引いて家型の箱を運び、選んだ場所で箱の中のサイコロを振り、説明書に書かれたルールやヒントに沿いながら同封されたオブジェクトやその場所周辺のものなどを使っていくことで、誰でも展示空間を作ることができるというものです。ルールの解釈や要求されるアクションの大部分はプレイヤーに委ねられており、彼ら彼女らは偶然的に出る盤上のサイコロの出目を座標のように手がかりにしながら、その空間に置かれている物や現象に注意を向け、空間そのもの、さらには外部の環境や事象へと意識を広げながらその場所そのものを捉えなおしていくというプロセスを経験します。鑑賞者もまた、サイコロの出た盤や、プレイヤーによって選ばれ配置されたオブジェクトに制作者の目線を探し、手がかりを繋ぎ合わせるようにしながらその空間から想像を広げるのです。
今回の展覧会では「PlanetesQue」の設計者であるBIEN自身が、PARCELの空間内でサイコロを振り、自身が設定したルールを再度咀嚼し、作家/プレイヤー「BIEN」として展示空間を作り上げます。
“展覧会って美術展示としてどう空間的に成立するかという、空間の問題がすごい大きい。時間の問題を内包した作品は、これだけ慌ただしい現代だからこそすごい魅力的だと思える。(BIENが)大らかな時間性を考えてるっていうのは、今回のシリーズとか、『Green Green Glass of Home』からも感じられる。作品のもつ生、時間の問題を考えているし、これは今考えないといけない。作品そのものだけじゃなくて、記録の方法やインストラクションとかも含めて。過去の作家だって、相当面白いことしてきたはずなのに、その当時の記録がなくて、インストラクションがインストラクション以上の膨らみを持ってこなかったりする場合も多い。どうしても思いを馳せることのできない時間の問題を噛み締めて、現代の僕らはいろんな形や最適な形で残すであったり、展示って形で伝えていく必要がある。” – 高木遊(金沢21世紀美術館 学芸員)/2023年6月作家インタビューより抜粋
「世界を見るときのきっかけ、媒介になるようなもの」とこれまでの自身の作品についてBIENが語るように、本作も制作者、鑑賞者に対して、固定されたイメージや表象に揺さぶりをかけ、本展の後にも、「PlanetesQue」は積極的に他者へ働きかけていくものになります。
「月にコウモリのような羽を持った生命体が存在している。」
1835年アメリカで起こった”グレートムーン捏造記事”は、ある有名な天文学者が捏造記事を発表し、これを信じた人々が新聞社に殺到したという事件です。捏造記事については荒唐無稽なホラ話だと笑うこともできますが、そういった話が信じられてしまう現象は、過去に比べても現代の方がさらに細かく、そこかしこに存在しているのではないでしょうか。”PlanetesQue”に登場するコウモリ人間の天秤は、この事件を由来として誕生しました。
偶然起きた小さな出来事から非現実的な世界を想像する。想像することがそれぞれの内なる世界を作り、信仰を作る。個人が信じた世界を生き、重なるようで重なっていないこの世界。コウモリ人間が本当に月にいないかどうかなど、誰にもわからない。人類にはそういった物語を作るような想像力があるからこそ、世界は面白く、時に傾き崩れそうになりながらもバランスを保っているのだと思います。
”PlanetesQue”は誰でも作品を制作できるように設計されたゲームです。
サイコロが生み出す偶然と付き合うことで、普段何気なく過ごしている周りの環境を新たに、まるで未知の宇宙を観測するかのように捉え直します。世界の断片を拾い、展示空間に構成していくことができます。
展覧会では制作者が関与していない事象も起こっているかもしれないし、どこまでが意図なのかはわかりません。
かつてアーティスト・ジョルジオ・モランディは「わたしたちが実際に見ているもの以上に、抽象的で、非現実的なものはなにもない」と言いました。このゲームはそういった世界の捉えきれなさ、不確実さを再認識することを目的としています。
– BIEN
BIEN
1993年東京都生まれ。アニメーション表現や文字、記号などの輪郭に着目し、その形状や意味を解体/再構築する抽象的な平面表現をはじめ、近年では映像、彫刻、インストラクション、インスタレーションなどメディアを横断しながら表象に問いかける作品を発表する。また多様なカルチャーの文脈を取り入れたアプローチもBIENの表現の特徴である。
Solo Exhibition
2023“PlanetesQue: The Case of Y”, People, Tokyo, JAPAN2022“Green Green Grass of Home”, HAITSU, Tokyo, JAPAN2021“DUSKDAWNDUST”, PARCEL / Island JAPAN, Tokyo, JAPAN2019“WOOZY WIZARD”, BLOCK HOUSE, Tokyo, JAPAN
Selected Group Exhibition
2022“Reborn-Art Festival”, Ishinomaki city, Miyagi Pref., JAPAN
“SIDE CORE -路・線・図・Ⅱ”, Gallery TRAX, Yamanashi Pref., JAPAN
“惑星ザムザ”, culated by Rintaro Huse, abandoned building, Tokyo, JAPAN2021“LAND” Duo Exhibition with ARIKA, Gallery TRAX, Yamanashi Pref., JAPAN
DELTA art fair 2021, Osaka, JAPAN
“6 paintings from 6 artists”, PARCEL, Tokyo, JAPAN
“AFTER APOX.”, CALM & PUNK GALLERY, Tokyo, JAPAN
“-Inside the Collector’s Vault, vol.1 – 解き放たれたコレクション”, WHAT, Tokyo, JAPAN2020“PARALLEL ARCHEOLOGY”, Curated by BIEN, OIL, Tokyo, JAPAN
“working/editing 制作と編集”, akibatamabi21, Tokyo, JAPAN2019“Reborn-Art Festival”, Ishinomaki city, Miyagi Pref., JAPAN2018“変容する周辺 近郊、団地”, Yashio Projects, Tokyo, JAPAN
“理由なき反抗 – Rebel Without A Cause”, The Watari Museum of Contemporary Art, Tokyo, JAPAN2017“Reborn-Art Festival”, Ishinomaki city, Miyagi Pref., JAPAN
“SIDE CORE -路・線・図- “, Gallery TRAX, Yamanashi Pref., JAPAN
Residence / Other projects
2022“APERTO 17 SCAN THE WORLD [NEW GAME] ” as SCAN THE WORLD, Long-Term Project Room / 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa, JAPAN
“ACAO OPEN RESIDENCE #5”, Atami city, JAPAN