2023/11/11 ~ 2023/12/24
化石としての風/復興としての土/祈りとしての風土 Prayers in the Wind and Soil
加茂昂| Akira Kamo
at: PARCEL
東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1 DDD hotel内 1F
DDD hotel 1F, 2-2-1 Nihonbashi-Bakurocho, Chuo-ku, Tokyo
Open :
Wed-Sun 14:00-19:00
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Closed : Mon, Tue
PARCELでは11月10日スタート、加茂昂個展『化石としての風/復興としての土/祈りとしての風土』を開催いたします。PARCELでは2月に行われましたEASTEAST_Tokyoで展示をして以来の作品展示となります。加茂の作品は一見すると、美しく描かれマチエールが特徴的に強調されている風景画ではありますが、その根底には風化し始めている震災後の記憶が深く関わっています。作品の象徴的なモチーフでもある風と土、震災に限らず各地域が失いつつある「風土」の現在地を感じていただける展示になっております。
加茂は、震災以降主に帰還困難区域でのフィールドワークとリサーチを重ねて来ました。本展覧会に出品されている作品はこの記録、およびスケッチをベースに制作されているます。その中で加茂は放射能汚染の影響が視覚化する象徴としてのフェンスや看板などの境界線を描くようになりました。「風」は加茂の作品にも度々登場する象徴的なモチーフです。そんな風は人間が自ら定めた基準によって設置され、動きを制限されたフェンスや看板の手前にいる作家が風景を記録している間も、立ち入りが禁じられている区域から軽々と人工物の脇を通り抜け、作家をも包み込みます。
またタイトルにある「復興としての土」は、帰還困難区域での除染土の課題に焦点を当てています。除染が進み、立ち入りが徐々に許され初めたエリアは田畑の除染が放射線レベルを下げる一方で、土地の活力や田畑に欠かせない肥沃な表層土を剥ぎ取り、真の復興に向けた長期的な課題を提起しています。加茂は土と詩の深い関わりを考察し、土の沈黙と、耕作地に関連する記憶の不可逆的な喪失に焦点を当てたシリーズも制作しています。
では復興を必要としている地域、具体的には加茂がフィールドワークを繰り返している福島が失ったものは何なのか。失ったものは風土であり「風土とは風を含む土のことである。風を含む土とは、人が鍬や鋤で耕し、その時その体に吹く風をその手で土に含ませることでようやく出来上がる生死の風景である。そして、風土はそこに祈りをも含む。」と加茂は語ります。近代化、グローバル化とともに加茂が本展で対象としている地域に限らず風土というものが喪失しております。風と土に含まれる物語に耳を傾けながら、フィールドワークを通して画布に浮かび上がらせる加茂の試みをぜひご高覧くださいませ。
加茂 昂 | Akira Kamo
1982年東京生まれ。
東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
3.11後、「絵画」と「生き延びる」ことを同義に捉え、心象と事象を織り交ぜながら「私」と「社会」が相対的に立ち現われるような絵画作品を制作する。